NY発 世界で自身の可能性が疑問なときに知ってほしいこと

今日の体験談は、同業のミュージシャン(志望者を含む)の方に向けています。それ以外のかたにも通じるところがあるかも。

リスナー割合がアメリカ・カナダでダントツな私から実践アプローチ法も公開。長くなるけど、おつき合いいただけたら嬉しいです!

夢はワインとご馳走とスポーツに乗って

ビッグ・イベントが冬に集中するアメリカ。お祭り好きのニューヨークの街では、そんな日の食料品店は大混雑。極端な話、「翌日が寒波で、多くの企業が休業宣言」した月曜の夕方、普段はガラガラなワイン・ショップがお祭り騒ぎだったり。

先週末のスーパーボウル当日、近所のスーパー トレーダー・ジョーズでは、店内面積のほとんどがレジ待ちの行列!「美味しいモノを買い込んで夜に備えよう」という魂胆がミエミエでしょう?

グラミー賞、スーパーボウル、そして今は近づくアカデミー賞の話題で賑やかなこの国。思うに、一番盛り上がっているのはスーパーボウルです。

音楽や映画は趣味の問題もあるけど、スポーツは老若男女共通の関心事ですし。こちらは、コービー・ブライアント亡き後、初のバスケットの試合前に行われた、追悼チェロ演奏

 

曲目は、アメリカ国民の心の唄、レナード・コーエンの "ハレルヤ”です。

何が言いたいかというと、こんな音楽こそが私がアメリカに来た理由。私のようなクラシックもどきのオリジナル音楽に門戸が広そうなアメリカ音楽業界に夢を抱いて、2013年からニューヨークに住み始めました。

その後世の中は変わり、今はネット/ストリーミング時代。なので、私の実例は日本でもできることです。日本で誰かがやっていることは、世界で大きく受け入れられる可能性がありますから。

著名作曲家の二言で決まった命運

ワーキング・ママとして子育てを終えた私は、移住当初、ほぼ収入のない身。安くはない月々の家賃が、そのまま投資額として消えていきます。

早急にこの国での可能性を知り、進退を決めないと……!この不利な条件が幸いしました。早い段階で、セレブの意見を求めて結論を得たためです。

 

経緯はこちら↑。全米年間最多放送賞の作曲家アダム・ゼルキンドさんに数種のデモを聴いてもらったところ、「ピアノ曲でいくべき」と言われました。「でも歌ものの方がヒットするし、ピアノ曲を買う人は少ないのでは?」と、ナマイキにも反論した私。アダムはプライドを傷つけられた顔で、語気強く言い放ちました。

I buy.

この二語で、私の命運は決まったようなもの。方向が定まった後、オーディションで受からないことはありましたが、ある心理実験を知っていたためもあって、気にしませんでした。

心理実験が明かす、売れない人の可能性と特効薬

それは、先のグラミー賞フィナーレで、ランランさんやシンディー・ローパーさんらと共演したクラシックのスター ジョシュア・ベルさん(バイオリニスト)が被験者になった心理実験です。

 

ワシントンDCの地下鉄ターミナル駅で行われたこの実験。上方のカメラが捉えたのは、彼が熱心に独演する前を、人々が足早に通り過ぎる様子でした。誰一人、立ち止まる人はいません。

かなり経ってから、一人の若い女性が彼に馳け寄って、握手を求めました。それは、前日に彼の演奏イベントを企画運営した市役所の職員でした。

「ジョシュア・ベル」という名前と顔の認識がなければ、グラミー級のスターでさえ見向きもされない好例です。

だから、評価や注目がまるでなくても真偽は不明。可能性はあります。

クリエイティブでは、受験の偏差値のように自身の可能性を知るのは困難。怪しげなランクづけもまかり通っています。

見切りをつける前に、売れ方を知っているその道の専門家にアドバイスを求めるのが、暗闇クリエイター人生の特効薬! そうすれば、自分を素通りする世間をいたずらに恨む必要もありません。

残念ながら、同じ機会に「アドバイスはないから帰って」と言われた友人も。(ジャズ・シンガーとしてクラブで歌って自活しているカナダ人女性でした)。それが正しい告げ方かはともかく、ヒットを夢見て時間やお金を浪費せずにすむかもしれないし……。

また、副業や趣味と割り切って楽しめるのも、自分を知る能力があってこそではないでしょうか。

ここから先は、アドバイスの求め方。ミュージシャン向けの情報になります。一旦、ここまでおつきあいありがとうございました!

英語なんかできなくても、世界で売れたければアメリカ人に聞け

さて、音楽の場合。グローバル時代の今は、世界で売りたいならアメリカのカンフェレンスに出るのが手っ取り早いかも。(前出アダムのアドバイスもその中の一つ)

3~4日の日程で、参加規模は200~1000人ほど? ホテルのバンケットルームが会場で、音楽業界の各種一線プロが講師陣です。

例えば、有名ドラマの選曲者や、トップ40最新ヒットを持つ作曲家、ロック・スター・ギタリストなど。たいていのカンフェレンスでは、選べる各種セミナー/ワークショップの他に、個人相談も設置。アドバイザーもある程度は選べます。

「英語はどうするの?」という問題がある場合ですが……。

前出の "I buy "くらいが聞き取れれば、なんとかなりそう。私はすぐに誰とでも仲良くなるタイプで、情報通からの地獄耳速報によれば……

日本から参加している人もいるみたい。あるロサンジェルスでの開催時は、私の他に「50代の男性と若い女性」とのことでした。

予算に余裕があるなら、通訳ができる人と一緒に行くのが一案。日常会話程度でもオーケーです。なぜなら、セミナーの内容は録音・録画して、日本でプロに訳してもらえばすむから。

同行が無理な場合も同様。講師やクラスメイトに質問があれば、通訳アプリに頼ればいいと思います。

引っ込み思案がアメリカで大きな顔をするコツ

「一人でなんて、そんな……。社交的じゃないし」? 実は、私も社交的じゃなくて(笑)自分で「誰とでも仲良くなるタイプ」と決めてるだけ。

アメリカでのコツはシンプルです。派手すぎず自分らしい服装で、「話してみたいなぁ」という雰囲気の人たちに寄っていって、笑顔で「Hello. How are you doing? 」。相手はきっと会話を始めてくれます。

音楽は世界の言葉!

「はあっ?」って顔されたら、睨み返して次行きましょう(笑)そういうことは、まずありえないと思いますが……! 

日本とは違うのです。特にカンフェレンス初日は、誰もがウキウキ気分で、多くの人と話したがっているのでチャンス。「あのグラミーのレッド・カーペットの雰囲気そのもの」と思って間違いありません。

不安な気持ちが消えるレッド・カーペット

例えばこんなカンフェレンスなど、4~5組織の主宰があります:

 

ハリウッドで開催の上記では、ASCAP(日本でいうJASRAC)コンサート部門の女性副社長が私の個人相談担当。「アルバムをリリースしてみたら? 今はダウンロードする人がいるわよ」とアドバイスされ、その通り実行。「無名の私が?」と半信半疑でしたが、結果は上々!

やっぱり、わからないことはわかる専門家に聞くのが一番です!!

不安な気持ちでの応募も、「この方向でいいのか?」の疑惑も、チャレンジャーには重圧。耐えきれずに諦めたりしたら、元も子もありませんから。

先に進むために相談相手を探したり、世界での自分の位置を知ってみるのも、ストリーミング時代には求められることではないでしょうか。

カンフェレンスご参加の場合、翻訳ソフトを使って受講するクラスを決めておくのがオススメ。メアド・URL入りネームカードは大量に。3〜4曲入りデモCDは、最低20枚程度はマストです。

各種プロデューサーも常駐して、お仕事ゲットのチャンスも。私の場合、英語での共同作詞者や、ネイティブのシンガーとも仲良くなれました。

以上、この他にも、お仕事情報はこのカテゴリーにいくつかありますので、ご興味あればぜひ!

冒頭の写真は、フォトグラファーの夫撮影のマンハッタンとハドソン川

◇あとがき……お知らせ

 

今なお波紋を広げるコービー・ブライアントの訃報。事故当日だったグラミー授賞式では、プレゼンター アリシア・キーズからの電話で、急遽この競演が実現したそうです。

 

前出の追悼ビデオで、コービーがこう言ってます。「朝早く起きて、あるいは夜遅くまで、そしてどんなにクタクタでやりたくなくても、それでもやろうと自分をプッシュすることこそが、本当の"夢”なんだ」

この言葉で泣きました。というのは、このnoteマガジンのイメージ写真を撮る前まで、私の頭にあったのは”夢“だけ。マンハッタンの夜景の美しさなんか、一つも目に入ったことがなかったからです。

画像1

撮影は、昨年11月。ふと見上げた光景に驚き、夢中でシャッターを切りました。アメリカでのデビュー・アルバムが無事に少々注目されるようになっていたこの日。それ以前は、夜空を見上げることなく、作業の続きのためにただ帰宅を急いでいたことに気づき、愕然としました。

友人たちとよく行くフードコートEATALYがあるこの場所。暗くなってから通りかかったことは、何度だってあるのに……。

私はそんな美しさが何も見えなかった自分を哀れみ、悔やんでいました。自分を追い込んだあげく、燃え尽きたような自分に呆れてもいました。

それが、このビデオで救われました。夢のためには、人間、そういうことがあってもいいと知ったから。

コービー、ありがとう。そして、どうか安らかに……。

 

ファースト・アルバムから、亡き愛犬の命日に寄せて作った曲。今日はコービーに捧げます。