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私とenjoyの果てない関係

私が仕事でenjoyという言葉を初めて聞いたのは、1990年。幼い娘を保育園に預けて働いていた音楽事務所で、グラミー賞歌手リタ・クーリッジの来日ツアーをアテンドした時のことです。

当時の日本には、まだアメリカ流の「楽しむ」という概念は浸透してなかったのです。「仕事中に楽しむなんて、不真面目!」ってかんじで……。

なので、波乱に満ちた一週間のツアーを終えて一行を送っていった成田空港で、リタのマネージャーのTimから「君がenjoyしてくれたならいいけど」と笑顔で言われて、ぽかーん!

意味わかんなかったです。食中毒騒ぎやら、ホスピタリティの不備やメンバーのメンタル問題やら……。寝る間のないような、過酷な毎日。ひたすら懸命に対処するだけでしたから。

だけど、チームの大黒柱Timの一言で全てが繋がったんです。ハプニングに負けず良いステージができたこと、みんなで冗談を言いあったこと、そして打ち上げの炉端焼き店でみんなから拍手してもらったこと……。

仕事であれば、楽しいことばかりじゃない。それでも、その過程を丸ごと楽しむことが大事なのではないか……。

一瞬にして、そう理解した私。「もちろんenjoyしたから」と、慌てて即答しました。ティムは、私のとってつけたような態度をちょっぴり訝りながらも、満足げにうなずきました。

それから月日が流れ、娘はお嫁にいって……。今は自分がアメリカで音楽をやっています。「仕事にすると楽しくなくなる」とよく言われるのは本当かも……と、つい思いそうな日々。

Tim流のenjoyを折々思い出しては、なんとか持ちこたえてます。

そんな最近、ビザ書類のことで、担当してくださった弁護士さんのJaneからメールが来ました。

Janeのおかげでアーティスト・ビザは取れたけど、これから大使館に面接に行かなくちゃいけません。Janeはその面接のための七面倒くさい書類をごっそり送りつけてきて、最後に一言、"Enjoy!" 

はぁ?! どうやったら、こんな書類や厳しい面接を楽しめるの??

アメリカ流のenjoyをマスターするのは、まだまだ遠い道のりのようです……。

☆写真は、今年のお正月、ダルマに願いを書く私。当然、「ビザが取れますように」と書きました!

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